買取時の消費税について

買取明細に「消費税」や「内税」と記載されている場合でも、一般の方が自宅で使っていた不用品を売っただけで、消費税の申告や納付が必要になるわけではありません。
ただし、中古品を継続的に販売している方や、事業で使用していた資産を売却した事業者は、消費税の課税対象となることがあります。
まずは、消費税の仕組みと売却時の考え方を確認していきます。
消費税は間接税である
消費税は、商品やサービスを購入する消費者が負担し、商品を販売した事業者などが申告・納付する税金です。
事業者は、売上にかかる消費税額から、仕入れや経費にかかった消費税額を差し引いて納付額を計算します。
税金を負担する人と税務署へ納める人が異なることから、消費税は「間接税」に分類されています。
一方、一般の方が自宅で使っていた衣類や家具、家電などを一時的に売る行為は、通常、事業として行う取引には当たりません。
買取明細に消費税の内訳が記載されていても、売り手が消費税を預かり、税務署へ納めるという意味ではない点を押さえておきましょう。
消費税の課税対象になるかは事業として売却しているかで異なる
中古品の売却が消費税の課税対象となるかは、次の4つの要件を満たすかによって判断されます。
- 国内で行われる取引である
- 事業者が事業として行う
- 対価を得て行う
- 資産の譲渡・貸付け、または役務の提供に当たる
一般的な中古品の売買は、国内で代金を受け取って品物を引き渡すため「事業者が事業として行う」という要件に当たるかどうかが主な判断材料になります。
ただし、課税対象となる取引でも、直ちに申告・納付が必要になるわけではありません。実際の納税義務は、売り手が課税事業者に該当するかどうかで判断されます。
「事業」の定義とは
消費税における「事業として行う取引」とは、対価を得る資産の譲渡などを反復・継続・独立して行うことを指します。
ただし「年に何回売れば事業に当たる」といった一律の回数基準はありません。販売の目的や取引の頻度、仕入れの有無などを踏まえて、実態に応じて判断されます。
自宅で使わなくなった服や家具、家電などを一時的に買取店へ売る行為は、通常、反復・継続して行う事業には該当しません。
一方、販売して利益を得る目的で中古品を仕入れ、継続的に売却している場合は、事業として行う取引に当たる可能性があります。
課税対象になる例
中古品の売却が消費税の課税対象となる主な例は、次のとおりです。
- 販売目的で中古品を仕入れ、継続的に販売している
- 個人事業者や法人が、事業で使っていた車両・機械・備品などを売却する
たとえば、仕入れた中古品を副業として繰り返し販売している場合は、事業として行う取引と判断される可能性があります。
また、商品の配達に使っていた車両や、事務所で使用していた家具・パソコンなどの売却も、事業に付随する資産の譲渡として課税対象になります。
ただし、個人事業者が私生活で使っていた衣類や生活用品を売った場合まで、すべて事業上の取引になるわけではありません。
課税対象となる取引であっても、実際に消費税を申告・納付するかは、課税事業者に該当するかによって異なります。
基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら原則として納税義務が免除される
事業として中古品を売却していても、すべての事業者に消費税の申告・納付義務が生じるわけではありません。
原則として、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除されます。
| 事業形態 | 基準期間 |
|---|---|
| 個人事業者 | 原則として前々年 |
| 法人 | 原則として前々事業年度 |
新たに開業した個人事業者や設立直後の法人は、基準期間がないため原則として免税事業者になります。
ただし、次のような場合は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務が免除されないことがあります。
- 特定期間の課税売上高などが1,000万円を超えている
- インボイス発行事業者として登録している
- 自ら課税事業者を選択している
- 資本金1,000万円以上で設立した法人など、一定の新設法人に該当する
課税売上高とは、消費税が課税される取引の税抜売上高と、輸出取引などの免税売上高を合計した金額です。
会社員として受け取った給与や、非課税となる住宅の貸付けによる家賃などは含まれません。
消費税の納税の仕方は?
消費税の申告・納付が必要なのは、原則として課税事業者です。
中古品を売った際に受け取った金額だけを個別に納めるのではなく、課税期間中の売上や仕入れ、経費などを集計して納付額を計算します。
申告・納付期限は、事業形態によって次のように異なります。
| 事業形態 | 課税期間と申告・納付期限 |
|---|---|
| 個人事業者 | 原則として1月1日から12月31日まで。翌年3月31日までに申告・納付 |
| 法人 | 原則として各法人の事業年度。事業年度終了日の翌日から2か月以内に申告・納付 |
申告は、主に次の流れで進めます。
- 課税期間中の売上・仕入れ・経費を集計する
- 消費税および地方消費税の申告書を作成する
- 期限内に所轄税務署へ提出する
- 計算した税額を期限内に納付する
申告書は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」などで作成でき、e-Taxによる提出にも対応しています。
消費税の納付額が一定額を超えると「中間申告」と呼ばれる申告・納付が必要です。
個人事業者は前年、法人は前事業年度の確定消費税額が48万円を超える場合、中間申告を行わなければなりません。
買取で得た収入に所得税はかかるの?

続いて、買取で得た収入に所得税がかかるケースを確認します。
一般の方がリサイクルショップや買取専門店、フリマサイトなどで、日常生活に使っていた不用品を売却した場合、その所得は原則として非課税です。
一方、売却した品物の種類や価額、取引の目的によっては、課税対象となることもあります。
ここからは、非課税となるケースと、確定申告が必要になる可能性があるケースの違いを解説します。
非課税となる場合
国税庁では、家具や衣服など、生活に通常必要な動産を売却して得た所得は非課税としています。
ここでいう「生活に通常必要な動産」とは、日常生活で使用する財産のことです。普段使いの衣類やバッグ、靴、家具、家電製品、ゲーム機、書籍などが該当します。
そのため、一般の方が自宅で使っていた不用品を売却しても、原則として所得税はかかりません。
ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものは非課税の対象から外れます。
腕時計も一律に課税されるわけではありませんが、貴金属や宝石を用いた高額な品は、課税対象になる可能性があります。
課税される場合
不用品の売却でも、次のような品物から生じた所得は課税対象となる場合があります。
- 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石
- 1個または1組の価額が30万円を超える書画・骨とう
- 競走馬やゴルフ会員権など、主として趣味・娯楽・保養または鑑賞を目的として所有する資産
貴金属や骨とう品などの30万円という基準は、売却によって得た利益ではなく、その品物1個または1組の価額を指します。
これらの品物を売却した場合は、生活用動産の非課税対象から外れ、譲渡所得の計算対象となります。
譲渡所得は、売却代金から購入代金などの取得費や売却に直接かかった費用を差し引き、年間最高50万円の特別控除を適用して計算するため、売却しただけで所得税が発生するとは限りません。
給与所得者は給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要
1か所から給与を受けて年末調整が済んでいる給与所得者でも、給与所得と退職所得以外の所得の合計が年間20万円を超える場合は、原則として所得税の確定申告が必要です。
ここでいう20万円は、買取店やフリマサイトから受け取った売却代金の合計ではありません。
売却による収入から仕入代金や販売手数料、送料などの必要経費を差し引いた「所得」で判断します。
雑所得とは、給与所得や事業所得、譲渡所得など、ほかの所得区分に当てはまらない所得です。
副業で得た原稿料や、フリマサイトなどを利用した個人取引による利益は、事業所得に該当する場合を除き、雑所得として扱われることがあります。
ただし、自宅で使用していた衣類や家具、家電など、生活用動産の売却による所得は非課税です。売却代金や利益が20万円を超えても、この20万円の判定には含まれません。
注意!販売目的で仕入れた品を継続的に売る場合は課税対象
生活用動産の売却が非課税になるのは、自分や家族が日常生活で使用していた品物を手放す場合です。
一方、利益を得る目的で商品を仕入れ、継続的に販売している場合は、生活用動産の処分には当たりません。注文を受けてから仕入れルートを通じて商品を調達し、販売するケースも同様です。
こうした取引で得た利益は、販売の規模や継続性などの実態に応じて、事業所得または雑所得として課税対象になります。
課税対象となるのは、原則として売却代金の全額ではなく、仕入代金や販売手数料、送料などの必要経費を差し引いた所得です。
所得区分や確定申告の要否を判断できない場合は、税務署または税理士へ確認してください。
ブランド品買取などで利用できる特別控除とは

貴金属や宝石、書画、骨とうなど、課税対象となる資産を売却して利益が出た場合は、譲渡所得として扱われます。
総合課税の譲渡所得には年間最高50万円の特別控除があり、その年の譲渡益が50万円以内であれば、控除後の譲渡所得は0円です。
短期譲渡所得と長期譲渡所得の両方がある場合は、それぞれの譲渡益を合計して適用します。
特別控除は品物1点や取引1回ごとに受けられるものではなく、その年に生じた譲渡益の合計から差し引く仕組みです。
なお、自宅で日常的に使っていたバッグや衣類などは生活用動産に当たり、売却による所得は原則として非課税です。
50万円の特別控除は、課税対象となる資産の譲渡益を計算する際に適用されます。
譲渡所得の計算
土地・建物や株式などを除く資産の譲渡所得は、次の計算式で求めます。
- 譲渡所得の金額 = 譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額
取得費とは、一般に品物の購入代金や購入時の手数料などです。
ただし、使用や時間の経過によって価値が減少する資産は、減価償却費相当額を差し引いて計算します。
譲渡費用は、品物を売るために直接かかった手数料や運搬費などです。
特別控除額は年間最高50万円で、短期譲渡所得と長期譲渡所得の合計に対して適用されます。
譲渡益が50万円未満の場合は、その譲渡益と同額が控除の上限です。
【控除例】
所有期間が5年以内で、30万円で購入した金製のネックレスが90万円で売れたとします。
売却に直接かかった費用がなく、その年にほかの譲渡益がない場合の計算は次のとおりです。
- 90万円(買取価格)-30万円(取得費)-50万円(特別控除額)=10万円(短期譲渡所得の金額)
この10万円は所得税額ではありません。
給与所得など、ほかの所得と合算したうえで、所得控除や税率を反映して実際の所得税額を計算します。
また、同じ年に課税対象となる品物を複数売却した場合は、それぞれの譲渡益を合計します。
たとえば、30万円で購入した貴金属を50万円で売る取引を年に3回行い、いずれも売却費用がかからなかった場合、譲渡益の合計は60万円です。
- 150万円(3回分の買取価格)-90万円(3点分の取得費)=60万円(譲渡益)
- 60万円(譲渡益)-50万円(特別控除額)=10万円(譲渡所得の金額)
特別控除は取引ごとではなく、その年の短期・長期の譲渡益を合わせて年間最高50万円まで適用されます。
購入金額が不明な場合の計算
譲渡所得を計算する際は、売却価格から購入代金などの取得費を差し引きます。しかし、購入から長い年月がたち、レシートや明細が残っていないこともあるでしょう。
購入金額を確認できない場合は、売却価格の5%相当額を取得費として計算できます。
たとえば、購入金額が分からない品物を100万円で売却した場合、取得費は5万円です。
所有期間が5年以内で、譲渡費用やほかの譲渡益がない場合は次のとおりです。
- 100万円(買取価格)-5万円(買取価格の5%)-50万円(特別控除額)=45万円(短期譲渡所得の金額)
45万円は実際に納める所得税額ではなく、ほかの所得と合算する譲渡所得の金額です。
実際の購入金額が買取価格の5%を上回る場合は、その金額を取得費として用いることで、譲渡益をより正確に算出できます。
購入時のレシートや保証書、クレジットカードの利用明細、通販サイトの購入履歴などが残っていないか確認してください。
遺品や贈り物を売却する場合は、原則として被相続人や贈与者の取得費と取得時期を引き継ぎます。
購入時のレシートや保証書など、元の所有者が購入した時期や金額を確認できる資料が残っていないか探してみてください。
取得費の扱いを判断できない場合は、税務署または税理士へ相談しましょう。
譲渡所得は所有している期間によって異なる
譲渡所得は、売却した資産の所有期間によって「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分かれます。
- 所有期間が5年以内:短期譲渡所得
- 所有期間が5年を超える:長期譲渡所得
短期譲渡所得は、特別控除を差し引いた後の金額が全額、ほかの所得と合算されます。長期譲渡所得の場合、合算するのは特別控除後の金額の2分の1です。
【長期譲渡所得の例】
10年前に20万円で購入した金製品が80万円で売れ、売却に直接かかった費用がなかったとします。その年にほかの譲渡益がない場合の計算は次のとおりです。
- 80万円(買取価格)-20万円(取得費)-50万円(特別控除額)=10万円(長期譲渡所得の金額)
- 10万円×2分の1=5万円(ほかの所得と合算する金額)
この例では、5万円を給与所得などと合算して所得税額を計算します。
買取で得た利益が同じでも、品物を所有していた期間によって、総所得金額へ算入する金額が変わります。
なお、短期譲渡所得と長期譲渡所得の両方がある場合も、特別控除は合わせて年間最高50万円です。
短期譲渡所得の譲渡益から先に差し引き、残額があれば長期譲渡所得の譲渡益から控除します。
まとめ

一般の方が自宅で使っていた不用品を一時的に売る場合、通常は消費税の申告・納付を行う必要はありません。
衣類や家具、家電など、生活に通常必要な動産を売却して得た所得も、原則として所得税の非課税対象です。
一方、取引の目的や売却する品物によっては、税務上の確認が必要になることがあります。
| 税の種類 | 確認が必要になる主なケース |
|---|---|
| 消費税 | ・販売目的で仕入れた中古品を継続的に販売している場合 ・事業で使っていた車両・機械・備品などを売却した場合 |
| 所得税 | ・1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨とうなどを売却した場合 ・販売目的の取引で利益を得た場合 ・年末調整済みの給与所得者で、給与所得・退職所得以外の所得が年間20万円を超えた場合 |
消費税の課税対象となる取引でも、実際に申告・納付が必要かどうかは、売り手が課税事業者に該当するかによって異なります。
また、価額が30万円を超える貴金属などを売却しても、直ちに所得税が発生するわけではありません。購入代金や売却費用、年間最高50万円の特別控除などを反映して譲渡所得を計算します。
高額な品物を売却するときは、購入時のレシートや保証書、クレジットカードの利用明細に加え、買取店から受け取った査定明細も保管しておくことが大切です。
取得費や所有期間が分からない場合、または申告の要否を判断できないときは、税務署や税理士へ相談してください。
高額になりそうな品や購入金額が分からない品は、売却前に査定額を確認しておくと、手放すかどうかの判断材料になります。
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