クーリングオフ制度について

買取でクーリングオフを利用できるか判断するには、まず制度の対象となる取引や期間を理解しておく必要があります。
ここでは、クーリングオフ制度の基本と、買取に適用されるようになった背景を解説します。
クーリングオフ制度とは
クーリングオフ制度とは、法律で定められた対象取引について、契約の申し込みや締結後でも一定期間内であれば無条件で申し込みの撤回や契約の解除ができる制度です。
本来、成立した契約は一方的に解除できないのが原則です。
一方、訪問販売など、消費者が十分に考える時間を確保しにくい取引では、契約後に冷静に考え直せるようクーリングオフ制度が設けられています。
クーリングオフ制度が生まれた背景
日本では、訪問販売による消費者トラブルが増えたことを背景に、1972年の割賦販売法改正でクーリングオフ制度が導入されました。
当時は、販売員が突然自宅を訪れ、高額な商品を強く勧めて分割払いの契約を結ばせるといったトラブルが問題となっていた時代です。
その後、1976年に公布された訪問販売法にもクーリングオフが規定され、消費者を保護する仕組みとして対象となる取引が広がっていきました。
買取におけるクーリングオフ制度とは
買取でクーリングオフの対象となるのは、特定商取引法上の「訪問購入」に該当する取引です。
訪問購入とは、買取業者が消費者の自宅など店舗以外の場所で、物品を買い取る契約を結ぶ取引を指します。
買取にもクーリングオフなどの規制が設けられた背景には、貴金属などを中心とした訪問購入による消費者被害の増加があります。
こうした被害を防ぐために2012年に特定商取引法が改正され、2013年2月21日から訪問購入に関する規制が施行されました。
買取においてクーリングオフが適用される取引と期間
買取でクーリングオフの対象となる代表的な取引と期間は、次のとおりです。
| 取引内容 | クーリングオフ期間 |
|---|---|
| 訪問購入(買取業者が消費者の自宅など店舗以外の場所で物品を買い取る取引) | 法律で定められた申込書面または契約書面のうち、早い方を受け取った日から8日以内 |
クーリングオフ期間内は、契約した品物を買取業者へ引き渡すことを拒めます。
すでに品物を渡している場合でも、クーリングオフを行えば事業者の負担で返却してもらえ、買取代金を受け取っているときはその代金を返すことになります。
クーリングオフの手続き方法

訪問購入でクーリングオフを行うときは、書面または電磁的記録で買取業者へ通知します。
通知方法や記載事項を確認し、期間内に手続きを進めることが大切です。
ここでは、はがきと電磁的記録による通知方法や、手続き後の流れを解説します。
クーリングオフは「書面」または「電磁的記録」で通知する
クーリングオフは、書面(はがきなど)または電磁的記録で買取業者へ通知します。
電磁的記録には、電子メールやFAX、USBメモリなどの記録媒体、事業者が設けたクーリングオフ専用フォームなどが含まれます。
電磁的記録で通知する場合は、契約書面に通知先や具体的な方法が記載されていないか確認してください。
クーリングオフは通知を発した時点で効力が生じるため、送付日や送信日時が分かる記録を残しておくことも重要です。
電話でクーリングオフの意思を伝えることはできますが、法律上の通知は書面または電磁的記録で行います。
後から手続きの事実を確認できるよう、はがきやメールなどでも通知してください。
はがきの場合
はがきで通知する場合は「特定記録郵便」や「簡易書留」など、発信の記録が残る方法で買取業者の代表者宛てに送付します。
送る前にははがきの両面をコピーし、郵便局の受領証などと一緒に保管してください。
はがきには、主に以下の内容を記載します。
- 契約年月日
- 品物の名前
- 買取金額
- 買取業者名
- 契約を解除する旨
- 通知を発する日
- 自分の住所
- 自分の名前
【はがきの記入例】

すでに品物を引き渡している場合は「引き渡し済みの商品○○を返還してください。」と追記します。
送付後も、はがきのコピーや郵便局の受領証、追跡番号などは処分せず保管しておいてください。
電磁的記録の場合
電磁的記録でクーリングオフを行う場合は、まず契約書面を確認し、通知先や具体的な方法が指定されていないか確認してください。
専用フォームが設けられている場合は、案内された方法で手続きを行えます。
電子メールで通知する場合も、はがきと同様に、対象となる契約を特定できる情報と契約を解除する意思を明記します。
【メールタイトル記入例】
契約解除通知書(クーリングオフ)
【メール本文記入例】
〇〇株式会社
代表取締役〇〇様
下記の契約を解除します。
契約年月日 〇〇年〇月〇日
商品名 〇〇
契約金額 〇〇〇円
買取業者名 〇〇株式会社〇〇営業所
担当者名 〇〇氏
引き渡し済みの商品〇〇を返還してください。
送信日 〇〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇
氏名 〇〇〇〇
通知した後は、送信済みメールを保存してください。
クーリングオフ専用フォームを利用した場合は、送信内容や受付完了画面のスクリーンショットを残しておくと、通知した日時や内容を確認できます。
クーリングオフ通知後の流れ
クーリングオフは、期間内に書面または電磁的記録による通知を発した時点で効力が生じます。
すでに品物を引き渡していても、買取業者の負担で返却を受けることが可能です。買取代金を受け取っている場合は、その金額を返します。
受け取った買取代金に利息を付ける必要はなく、クーリングオフに伴う違約金や損害賠償を支払う必要もありません。
通知したにもかかわらず品物が返還されないなど、買取業者との間でトラブルが生じた場合は、消費生活センターなどの相談窓口を利用してください。
クーリングオフが適用されないケース

買取で利用できるクーリングオフは、すべての品物や取引に適用されるわけではありません。
品物の種類や買取方法によって対象外となるため、売却前に条件を確認しておくことが大切です。
適用除外品である場合
訪問購入であっても、以下の品物は原則としてクーリングオフを含む規制の対象外です。
- 自動車(2輪のものを除く)
- 家庭用電気機械器具(携行が容易なものを除く)
- 家具
- 書籍
- 有価証券
- レコード、CD、DVD、ゲームソフト類など
たとえば、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電や家具を訪問買取で売却した場合でも、訪問購入のクーリングオフは原則として利用できません。
ただし、同じ品物でも骨とう品や収集品として取引される場合など、規制の対象となるケースがあります。
対象になるか判断が難しいときは、消費生活センターなどへ確認してください。
クーリングオフ期間が過ぎた場合
訪問購入のクーリングオフ期間は、法律で定められた申込書面または契約書面のうち、早い方を受け取った日から8日以内です。
原則として、この期間を過ぎるとクーリングオフは利用できません。
ただし、交付された書面の記載に不備があった場合や、事業者から「クーリングオフできない」と告げられるなどの妨害を受けた場合は、8日を過ぎてもクーリングオフできることがあります。
店頭買取・宅配買取など訪問購入に当たらない場合
特定商取引法では、買取業者が消費者の自宅など店舗以外の場所で契約する取引を「訪問購入」として規制しています。
店頭へ品物を持ち込む店頭買取や、品物を発送して査定を受ける宅配買取はこれに当たらず、訪問購入のクーリングオフ制度の対象外です。
一方、出張買取は、自分から業者へ連絡したという理由だけでクーリングオフの対象外になるとは限りません。
たとえば、自宅での査定だけを依頼し、その場で売却契約を結んだ場合は、訪問購入としてクーリングオフできることがあります。
自宅で売買契約を結ぶことまで明確に依頼して業者を呼んだ場合は、クーリングオフの対象外となることがあります。
出張買取を利用した経緯によって扱いが異なるため、判断に迷う場合は契約書面を確認し、消費生活センターなどへ相談してください。
なお、宅配買取のキャンセルや品物の返送については、事業者が定める利用規約などに基づいて扱われます。
査定後にキャンセルする可能性がある方は、申し込み前にキャンセルの可否や返送料、返送方法を確認しておくことが大切です。
クーリングオフ手続き時の疑問点

Q.買取時に契約書面をもらっていない場合はどうする?
A.訪問購入では、買取業者が契約の申し込みを受けたときや契約を締結したときに、法律で定められた事項を記載した書面を交付する必要があります。
クーリングオフの8日間は、法律で定められた書面を受け取った日から数えるのが原則です。契約書面を受け取っていない場合は、クーリングオフ期間の起算に影響するため、契約時のメールやメッセージ、買取業者とのやり取りなどを残しておいてください。
手続きの可否に迷う場合は、消費生活センターなどへ相談するとよいでしょう。
Q.契約書面の内容に不備があった場合はどうする?
A.契約書面に必要な事項が記載されていない場合は、書面を受け取ってから8日を過ぎていてもクーリングオフできる可能性があります。
訪問購入の契約書面には、物品の種類や購入価格、代金の支払時期・方法、クーリングオフに関する事項などの記載が必要です。
記載漏れなどが気になる場合は、受け取った書面を保管したうえで消費生活センターなどへ相談してください。
Q.買取業者にクーリングオフできないと言われたらどうする?
A.クーリングオフの対象となる取引であれば、買取業者から「クーリングオフできない」と言われただけで権利がなくなるわけではありません。
クーリングオフについて事実と異なる説明を受けたり、威迫されて手続きできなかったりした場合は、8日間を過ぎた後でもクーリングオフできることがあります。
業者とのやり取りを残し、書面または電磁的記録で通知したうえで、解決しない場合は消費生活センターなどへ相談してください。
Q.電話でクーリングオフの申請はできる?
A.電話でクーリングオフの意思を伝えることはできますが、電話だけでは法律で定められた通知方法には当たりません。
クーリングオフは、はがきなどの書面または電子メール・専用フォームなどの電磁的記録で通知します。
電話で買取業者へ連絡した場合も、期間内に書面や電磁的記録で正式に通知し、送付・送信した記録を残してください。
Q.はがきのコピーやメールなどはいつまで保管すればいい?
A.国民生活センターでは、クーリングオフの通知に関する送付記録や関係書類を少なくとも5年間保管するよう案内しています。
はがきのコピーや郵便の受領証、送信済みメール、専用フォームのスクリーンショットなどをまとめて保管しておくと、後から通知内容や日時を確認できます。
まとめ

買取のクーリングオフは、主に特定商取引法上の「訪問購入」が対象です。
対象となる取引では、法律で定められた書面を受け取った日から8日以内であれば、書面または電磁的記録で契約を解除できます。
一方、店頭買取や宅配買取、一部の品物は対象外となるため注意が必要です。
売却後に迷わないためにも、査定額だけでなく、買取方法や契約内容、キャンセル条件まで確認してから契約を進めることが大切です。
出張買取でクーリングオフの対象か判断できない場合は、契約書面を手元に用意して消費生活センターなどへ相談してください。
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売却を急がず、金額や条件に納得したうえで判断するとよいでしょう。
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