そもそも冷蔵庫の「水抜き」ってなに?

引っ越し準備についてネットで検索した際、”冷蔵庫の水抜き”というワードを目にした方も多いはずです。
皆さんは、そもそもこの”水抜き”がどんなものかご存知でしょうか?
”冷蔵庫の水抜き”とは、冷蔵庫に溜まった水を抜くことを指します。
方法はメーカー・製品によっても異なりますが、冷蔵庫に備わった水受け容器の水を捨てるタイプが一般的です。
そのほか、排水栓から直接水を捨てるタイプの冷蔵庫もあります。
水受け容器(機種によっては「蒸発皿」という名称で呼ばれることもあります)は冷蔵庫の底や背面部分、内部などに設置されています。場所が分からない方は取扱説明書で確認してみてくださいね。
どうして引っ越し前に水抜きが必要になるの?

冷蔵庫の水抜きをきちんとしておけば、引っ越しなどで冷蔵庫を移動させる際の水漏れを防げます。
もし水抜きしていなければ運搬中の揺れにより水が漏れ、冷蔵庫本体が故障してしまうばかりか、ほかの家財品やお部屋を汚してしまう可能性も。
さらに水受け容器の水だけでなく、製氷機などから水を抜いたり、庫内に霜がついているようなら冷凍庫の霜を取ったりするのも忘れないようにしましょう。
こちらもそのままにしておくと、水漏れしてしまうことがあります。
冷蔵庫に水が溜まるのはなぜ?
冷蔵庫は冷却の過程で霜が付着するのを避けられませんが、現在の冷蔵庫の多くには「霜取り機能」が搭載されていて、庫内の温度を一時的に上げることで、自動的に霜を溶かしてくれる仕組みになっています。
そして溶けた水は「ドレンホース」と呼ばれる管を通って、冷蔵庫内部にある水受け容器(または蒸発皿)に集められます。
これが、冷蔵庫に水が溜まる理由です。
水抜きは普段からする必要があるの?
水が溜まると聞くと、「じゃあ普段から水を抜かないとダメなの?」と思うかもしれませんが、普段の使用中は基本的に水抜きを気にする必要はありません。
冷蔵庫は、霜が溶けてできた水を内部の熱で自然に蒸発させる仕組みになっているからです。
ただし、引っ越しなどで電源を切ってしまうと、この熱が使えなくなり、水が蒸発しなくなります。
そのままにしておくと運搬中に水が漏れてしまうおそれがあるため、引っ越し前には水受け容器(蒸発皿)の水を捨てたり、機種によっては排水栓から水を抜いたりする必要があるのです。
水抜きをすると引っ越し時に運びやすくなるというメリットも!
わずかですが、水を抜くことで冷蔵庫本体の重量が軽くなり、運びやすくなるのもメリットのひとつです。
とくにファミリー向けの冷蔵庫は100kgを超すものもありますので、少しでも軽量化するためにしっかりと水抜きを行っておくことをおすすめします。
中には水抜きが不要なケースもある
先ほども触れたように、水漏れや冷蔵庫の故障を防ぐためには、水抜きは欠かせない作業です。
とはいえ、引っ越し業者の中には水抜きを代行してくれるところもあるため、自分で行わなくても済む場合があります。
引っ越し前には、冷蔵庫の水抜きが必要かどうか、業者にあらかじめ確認しておくと安心です。
水抜きはすぐできるの?準備することはある?

水抜きの大切さが分かったところで、次は水抜きの詳しい手順について見ていきましょう。
冒頭でもお伝えしたように、水抜きには事前準備が必要です。
冷蔵庫の水抜きにかかる時間は、夏場は10時間、冬場は15時間程度かかります。
引っ越し当日に電源を落としても水抜きはすぐに行えませんので、ご注意ください。
事前に計画して、スケジュールに余裕をもって冷蔵庫の水抜きを行いましょう。
水抜きを行うスケジュールをまとめると以下のようになります。
日程 | やっておくこと |
---|---|
1週間~2日前まで | ・冷蔵庫の中身を整理しておく ・製氷機能を止める |
引っ越しの前日 (可能な限り早めに) | ・冷蔵庫の電源を切る ・冷凍室の霜取りをする ・冷蔵庫の水抜きをする |
ここではまず、事前準備について解説していきたいと思います。
【1週間前〜】冷蔵庫の中身を整理し始める
引っ越しの1週間ほど前から、徐々に冷蔵庫の中身の整理を始めましょう。
引っ越しの2日前までには冷蔵庫の食品をすべて外に出し、庫内を空にしておくのが理想です。
食材や冷凍食品などは、1週間前から中身を増やさないようにし、できるだけ使い切るように心がけるといいでしょう。
このタイミングでお惣菜やお弁当、外食などを上手に取り入れるのもおすすめです。
調味料やストック食材など、どうしても余ってしまった食材は、クーラーボックスや蓋のついた発泡スチロール容器などに保冷剤を入れて一時的に収納しておきます。
引っ越し後に新居に届くように日時指定をして、鮮度を保てるクール便で送ってしまうのもおすすめです。
空になったタイミングで冷蔵庫をキレイに掃除しよう!
生鮮食品のニオイがついていたり、こぼれた調味料や手垢がついていたりして、冷蔵庫の中は意外と汚れているものです。
引っ越しでもない限り冷蔵庫が空っぽになることはなかなかないので、この機会に庫内の掃除を行いましょう。
棚板や仕切りなど取り外し可能なパーツは台所用洗剤で洗い、アルコール除菌や漂白をして清潔にしておけば、新居でも気持ちよく使用できます。
あわせて、庫内だけでなく扉の内側やパッキン、外装、電源コードなども忘れずに拭き上げておくと安心です。
【2〜3日前】 製氷機能を止める
引っ越しの2〜3日前になったら、製氷機の給水タンクを取り外し、中の水を捨てて製氷機能を停止しましょう。
停止方法は、各メーカーのホームページや取扱説明書で確認できます。
残っている氷は使い切るか、流しに捨てて処分します。
製氷機能がない冷蔵庫をお使いの場合も、製氷皿に氷が残っていないか確認し、忘れずに処分しておきましょう。
冷蔵庫の水抜きのやり方

事前準備が完了したら、いよいよ水抜き作業に入ります。
先述の通り、冷蔵庫の水抜きにはある程度時間がかかるため、できるだけ早めに取りかかっておくと安心です。
とはいえ、夏場でギリギリまで冷蔵庫を使わざるを得なかったり、忙しくてなかなか手が回らなかったりすることもあるでしょう。
そんな場合でも、遅くとも引っ越し前日までには水抜きを済ませておくようにしてください。
手順① 電源を切る
庫内に残った霜はおよそ15時間ほどで溶けるとされているため、引っ越し前日には食材の移動を済ませ、冷蔵庫の電源を切っておきましょう。
電源を切ったあとは、アース線の取り外しも忘れずに。
アース線の外し方はコンセントの形状によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
手順② 霜取りをする
霜取り機能がついている冷蔵庫であれば、前日に電源を切ることで庫内の温度が自動的に上がり、霜を溶かしてくれます。
この場合は、当日の朝に霜が水滴となって庫内に残っているので、タオルなどで拭き取ればOKです。
ただし、古いタイプの冷蔵庫には霜取り機能がついていないことがあります。
その場合は、以下の手順で霜取りを行いましょう。
【霜が薄い場合】
薄い霜は、40℃前後のぬるま湯で濡らしたタオルで簡単に拭き取れます。
霜の量が少量であれば冷蔵庫の電源を切ったり、食材を外に出したりする必要もありません。
除去後は再び霜がつかないよう、しっかり乾拭きして仕上げましょう。
【霜が厚い場合】
霜が厚い場合や広範囲に霜が広がっている場合は、冷蔵庫のドアを開け、自然に溶かしましょう。
- 冷蔵庫の周りにタオルを敷く
- ドアを開けて霜が自然に溶けるまで放置する
- 庫内の水分をタオルで拭き取る
溶けた霜で冷蔵庫の周りが水浸しになる可能性があるので、あらかじめ冷蔵庫の周囲にタオルを敷いておくと安心です。霜が溶け切るまで(8~10時間程度)放置し、常温でゆっくりと溶かしていきましょう。
放置後、庫内の霜が取れたのを確認したら、水分を拭き取って乾燥させれば霜取りは完了です。
霜は時間をかけて溶かすのが理想ですが、どうしても時間がないということもありますよね。
その場合は下記の方法を試してみてください。
ドライヤーの冷風を当てる
ドライヤーの「冷風」を、霜に直接当てる方法です。
ドライヤーではなく扇風機を使うという手段もあります。
氷がなかなか取れない場合は、ドライヤーの風を1箇所に集中的に当てるようにするのも効果的。
少しでも氷が溶け出せば、そこから霜をはがしやすくなります。
ヘラを使ってはがし取る
氷の下にヘラを差し込むようにして、霜を浮かしてはがす方法です。
このとき、金属製のヘラを使うと庫内を傷つける可能性も。
木べらやゴムベラのように柔らかいものを使うのがおすすめです。
手順③ 溜まった水を抜く
上記の行程がすべて完了したら、いよいよ水抜きを行っていきましょう。
基本的には水が溜まっている容器(蒸発皿)を外して溜まった水を捨てるだけですが、メーカーや機種により容器の位置や外し方が異なることもあります。説明書をよく読み、記載されている方法に従って水抜きを行いましょう。
水をこぼして周りを濡らしてしまわないよう、冷蔵庫から水受けトレイや水受けタンクを取り出すときは霜取り時と同様に、タオルなどを敷いておくと安心ですよ。
冷蔵庫を水抜きするときの注意点

ここでは、冷蔵庫を水抜きするときの注意点を紹介します。
霜取りのやり方に注意!
ドライヤーの「冷風」を使用して霜を取るのは時間がかかるので、いっそのこと「熱風」を当てれば時間短縮できるのでは?と思う方も多いかもしれません。
しかしドライヤーの熱風を冷蔵庫に当て続けると、温度変化により冷蔵庫が変形する可能性があります。
時間はかかりますが必ず冷風を当てるようにしてくださいね。
また、霜をはがす際の道具にも注意が必要です。
- キリ
- ナイフ
- 金属製のヘラ
- ドライバー
など、先端が鋭利なものを使って霜を叩いたり、ガリガリひっかいたりすると冷蔵庫を傷つけてしまうリスクがあります。特に冷媒ガスを通すパイプに傷がつくと、ガス漏れが発生する可能性も。
このような破損は修理に高額な費用がかかることもあるため、鋭利な道具の使用は絶対に避けるようにしてください。
水受け容器(蒸発皿)の外し方に注意!
水受け容器(蒸発皿)の取り外し方はメーカーや機種により方法が異なります。
実際に外す前に、取扱説明書で水抜きの手順を確認しておきましょう。
ここでは、パターン別の水受け容器の外し方を紹介します。
内部に水受け容器がある場合
水受け容器は冷蔵庫の背面など外部に出ているタイプだけでなく、冷蔵庫の内部に設置されているケースもあります。
水受け容器が内臓されている冷蔵庫ですと、背面部分のパーツを外して排水しなくてはならない場合も。
そのときは、洗面器やバケツなどの受け皿を用意して、出てきた水を受け止めましょう。
排水口から水抜きを行う場合
冷蔵庫の背面につけられた排水口から水抜きを行うケースもあります。
冷蔵庫を傾けないと水が出てこない機種もありますが、重たい冷蔵庫を一人で傾けるのは大変危険です。
必ず複数人で作業を行うようにしましょう。
一人暮らしの方の場合は引っ越し業者に手伝ってもらうことも可能ですが、オプション料金が発生する可能性もあるため注意してください。水抜き作業の手伝いが引っ越し料金に含まれるかどうかは、事前の見積もりの際に確認しておくと安心です。
トレイの配置場所がコンプレッサーに近い場合
冷媒を圧縮する際に放熱するため、冷蔵庫を冷やす機械であるコンプレッサーは熱を持っていることがあります。
直接手を触れると火傷のおそれがあるため慎重に作業に当たりましょう。
もしも冷蔵庫の水抜きをやり忘れてしまったら…

引っ越し直前はさまざまな手続きや作業に追われてバタバタと忙しいもの。
うっかり水抜きを忘れてしまう場合もあるかもしれません。
本来は忘れないようなるべく気をつけたいものですが、忘れてしまった場合はどうしたら良いのでしょうか?
ここでは、その対処法について解説します。
まずは業者に連絡する
”冷蔵庫の水抜きを忘れた!”と気づいたら、すぐに引っ越し業者に連絡するようにしてください。
引っ越し前に連絡をしておけば、状況に合わせた対処法を考えてくれるはずです。
経験豊富な引っ越し業者であれば、水抜きを忘れたというトラブルにも冷静に対処してもらえるでしょう。
ただし、引っ越し業者によっては対応に別途費用が発生する可能性もあります。
事前に料金がかかるかどうかはきちんと確認しておきましょう。
運んでもらえない場合は別の業者に頼る
水抜きが不十分な冷蔵庫は故障のリスクが高いため、引っ越し業者によっては運搬を断られることがあります。
その場合は、別途運送業者の手配が必要です。
短時間で霜を溶かすためにドライヤーの温風やお湯を使う方法もありますが、無理な作業は冷蔵庫の故障や事故に繋がりかねません。
故障・事故を避けるためにも、追加費用がかかりますが、冷蔵庫は別の運送業者に依頼して運搬してもらうのが安心です。
搬入直後の冷蔵庫は取り扱いに注意が必要!

搬入直後の冷蔵庫は、運搬中の揺れや傾きによって内部のオイルや冷却液が不安定な状態になっています。
そのまま電源を入れると故障の原因になることもあるため、引っ越し後すぐに通電するのは避けましょう。
冷蔵庫を設置したら、少なくとも1時間は置いて内部を落ち着かせることが大切です。
また、電源を入れたからといってすぐに庫内が冷えるわけではありません。
冷却が不十分なうちに食材を入れてしまうと、冷えるのに時間がかかるうえ、食品の傷みにつながるおそれも。冷蔵庫や室温によって異なりますが、庫内が完全に冷えるまでには3〜4時間、夏場は10時間程度を見込んでおくと安心です。
その間はクーラーボックスや保冷材を使って、食材を保管しておきましょう。
まとめ

期間に余裕をもって手順を守りさえすれば、冷蔵庫の水抜きは難しい作業ではありません。
今回のコラムでお伝えした大事なポイントは、以下の通りです。
- 引っ越しまでに食品を使いきる
- 庫内の掃除をしておく
- 製氷機能を止め、電源を切る
- 霜取り機能がないものは霜取りを行う
- 受け皿にたまった水を抜く
コラムの中では、水抜きの手順や、新居に冷蔵庫を設置した後の注意点などさまざまな内容を紹介しています。引っ越し前には一度目を通していただき、確実に冷蔵庫の水抜きを終えられるようにしてくださいね。
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