ヴィトラ社は1934年にスイスで創業された家具メーカーで、創業者であるヴィリー・フェールバウムがアメリカ旅行中、ショーウィンドウに飾られたイームズのプライウッドチェアを見たことをきっかけに、1957年、ヨーロッパでの製造販売権を獲得し家具の生産に乗り出しました。その権利を持ちつつ、現在においては一般家庭からオフィス空間や公共施設をデザインする家具を生産しています。
チャールズ&レイ・イームズ、マリオ・ベリーニ、ジャン・プルーヴェといった偉大な家具の巨匠から、近年ではジャスパー・モリソン、ロナン＆エルワン・ブルレック、ヘラ・ヨンゲリウスなどの世界的なデザイナー、建築家がデザインした家具を発表し続けています。
またバーゼル郊外のvitra CAMPUS（ヴィトラ キャンパス）は世界の建築のミュージアムともいわれており、フランク・ゲーリー、ザハ・ハディド、安藤忠雄らの建築、プルーヴェ設計のガソリンスタンドの移築など、様々な建築が渾然とそれぞれの個性を主張しています。2010年にはヘルツォーク&ド・ムーロンのVitraHaus（ヴィトラハウス）が完成。建設中のSANAAによる工場を含め、11作家による建築がvitra社のコンセプトを表現しています。

ヴィトラの製品はどの商品も総じて独創的でデザイン性が高い事が挙げられます。同社に関わったイームズだけでなく、ヴェルナー・パントンやジャン・プルーヴェのデザインした家具の系譜が今のヴィトラに受け継がれているように思います。意外にも木製家具である事を全面にアピールしている製品も多く、ファミリー層からの支持が高いです。カッシーナのようなモノトーンを基調とした洗練されたモダンデザインとは若干異なり、暮らしの中に色彩とユーモアやあたたかみを感じたい方にマッチする家具だと言えます。